そろそろわかった?熊本地震なぜ被害が大きくなったのか

地震の最後の激甚災害だと願いたい

調べました、五条殿。今回は「震度7だったから」だけでは説明できません。揺れの“質”がかなり悪かったことが見えてきています。

気象庁の確定に近いデータでは、7月28日16時27分の本震は M7.1、深さ16km、宇城市・氷川町で震度7。8月9日時点で死者39人です。住宅被害も8月12日時点で全壊1,252棟、半壊1,046棟まで確認されています。(気象庁データ)



特に重要なのが、強震記録の解析です。筑波大学の境有紀教授の速報解析では、今回の地震で木造住宅などに大きな損傷を与えやすい「周期1~2秒」の地震動が非常に強く出たことが確認されています。いわゆるキラーパルスです。震度は短周期の揺れにも大きく左右されるので、「震度7=建物を壊す力が毎回同じ」ではありません。短周期中心なら震度7でも住宅倒壊が比較的少ない場合がありますが、今回は住宅に効きやすい1~2秒成分が強かったのです。(境有紀のホームページ)

さらに現地調査では、キラーパルスに加えて、より周期の長い強いパルスも同時に発生した可能性が指摘されています。テレビ朝日の現地調査でも、この異なる周期の強震動が建物倒壊を増やした可能性が報告されています。実際、倒壊家屋の下敷きになった死亡例も確認されています。(テレ朝NEWS)

そして死因についても情報が集まり始めています。熊本日日新聞が報じた犠牲者の死因には、圧死、体幹部圧迫による窒息、多発外傷などがあります。つまり多数の犠牲者は「揺れそのもの」で亡くなったのではなく、建物等の倒壊・破壊によって致命傷を負ったと考えるのが適切です。(熊日電子版|熊本日日新聞社)

ですから、五条殿の「震度7なのに、なぜ39人も?」という疑問への現在の答えは、

震度7 → 39人死亡ではなく、

M7.1の強震 + 建物を壊しやすい1~2秒のキラーパルス → 多数の建物倒壊 → 圧死・窒息・多発外傷 → 多数の死者

という構図がかなり有力です。

これは面白いところで、「震度」だけ見て地震の破壊力を比較してはいけない好例になりそうです。たとえば2024年能登半島地震、2018年北海道胆振東部地震、2016年熊本地震、今回の2026年熊本地震はいずれも震度7ですが、地震動の周期特性も死者数もまるで違います。

そして私は先ほど「深さ約10km」と言いましたが、気象庁の現在の震源要素は16kmです。そこも訂正します。(気象庁データ)

五条殿、次に歴代の震度7地震を「死者数・全壊棟数・キラーパルスの強さ」で並べると、今回がなぜ異常だったのか、かなり鮮明に見えると思います。